不耕起有機栽培は、なぜ毎年同じ結果にならないのか
不耕起有機栽培の話をすると、
「仕組みとして完成している農法」
という印象を持たれることがあります。
耕さない。
土壌生態系を活かす。
理屈は、たしかに筋が通っています。
しかし、
自分自身の修士論文(2025年に福島大学大学院修了)の調査と現場の作業を通して、
はっきりしたことがあります。
不耕起は、毎年同じようには成立しない。
成立した年と、しなかった年
調査期間中、
不耕起が比較的うまく機能した年もあれば、
そうでない年もありました。
- 雑草が想定以上に増えた年
- 初期生育が遅れた年
- 収量が大きく落ちた年
同じ方法をとっているのに、
結果は大きく違う。
これは技術不足だけでは
説明できませんでした。
不耕起は「制御」を手放す農法だった
研究を進める中で、
ひとつの理解に行き着きます。
不耕起有機栽培は、
人が自然をコントロールする農法ではなく、
制御できない前提を受け入れる農法だということ。
天候、土壌、水分、微生物。
どれも、人の計画通りには動きません。
不耕起は、
その不確実性が
より強く表に出る方法でした。
理想が崩れたのではなく、現実が見えた
結果が揃わないことを、
「失敗」と呼ぶこともできます。
けれど、
そう単純には割り切れませんでした。
なぜなら、
成立しなかった年にも、
- 土壌の変化
- 水分保持の兆し
- 長期的な傾向
が、確かに見えていたからです。
短期的な成果と、
長期的な変化は、
同じ軸では測れない。
この認識は、
その後のすべての判断に影響しました。
農業の揺れを、どう引き受けるか
ここで、
ひとつの問いが生まれます。
この「毎年違う」という前提を、
どう扱うべきか。
- 無理に揃えるのか
- なかったことにするのか
- それとも、受け入れるのか
RIKKAは、
この揺れを消さない方向を選びました。
それは、
農業だけでなく、
この先のビールづくりにも
直結していきます。
