不耕起栽培の「揺れ」は、どこでビールの味に影響し始めるのか
昨夜は、札幌市内でイベントをさせていただきました。会社設立当初からサポートいただいているハヤシ商店さんです。皆さんでビールを飲みながらビール以外の農業や環境や仕事への姿勢など、いろんな話ができて楽しかった。人と人の間にあり、人と人を繋ぐ飲み物がビールなんだと改めて思いました。
さて、前の回で書いたように、
不耕起有機栽培は
毎年同じ結果を生まない農法です。
同じ畑、同じ作業、同じ品種。
それでも、結果は揃いません。
では、その揺れは
どこでビールづくりに影響し始めるのでしょうか。
味に出る前に、すでに差が生まれている
多くの人は、
「味が毎年違うのか?」
と考えます。
しかし、実際には
そのずっと手前で差が生まれています。
- 大麦の粒の大きさ
- 粒の揃い具合
- タンパク質含量
- 吸水のしやすさ
これらは、
畑の状態や気象条件の影響を
強く受けます。
不耕起栽培の揺れは、
まず原料の性質として現れます。
数値は同じでも、反応は違う
分析値だけを見ると、
大きな差がない年もあります。
それでも、
製麦や仕込みの工程では、
微妙な違いが表に出ます。
- 麦芽化の進み方
- 糖化の立ち上がり
- ろ過のスピード
- 発酵の立ち上がり
同じレシピを使っていても、
原料が違えば
工程の「手応え」が変わる。
ここで初めて、
農業の揺れが
醸造の現場に届きます。
揺れは、問題というより「情報」だった
当初、この違いは
トラブルのように感じられました。
想定通りに進まない。
説明しづらい。
管理しにくい。
しかし、
修士論文で
「結果が揃わないこと」そのものを
観察してきた経験が、
ここで活きます。
揺れは、
失敗ではなく、
畑から届く情報なのではないか。
そう考えるようになりました。
原料に合わせて、設計を動かす
そこでRIKKAでは、
原料を固定して
工程を当てはめるのではなく、
- 原料を見て
- その年の状態を読み
- 設計を微調整する
という考え方に近づいていきます。
これは、
効率の良いやり方ではありません。
けれど、
不耕起栽培という農法を選んだ以上、
自然な流れでもありました。
味は、あとからついてくる
この段階では、
「今年の味はこうだ」と
言語化することはできません。
なぜなら、
まだ意図的につくっていないからです。
味は、
原料の性質と
設計判断の積み重ねの
結果として現れるもの。
第5回では、
その入口まで来た、
という位置づけです。

