「正しい農業」を選んだはずなのに、違和感が消えなかった
第1回・第2回で書いてきた通り、
RIKKAは不耕起有機栽培という方法を選び、
ZERO TILL, FULL THRILL! という言葉を掲げています。
耕さず、
化学肥料や農薬に頼らず、
土壌の力を信じる。
環境面から見ても、
思想として見ても、
「正しい選択」に思えました。
それでも、
どこかで小さな違和感が残っていました。
「これでいいはずだ」という感覚への疑問
不耕起有機栽培について語ると、
多くの場合、こんな反応があります。
- 環境に良さそう
- 持続可能だと思う
否定されることは、ほとんどありません。
それでも、
自分たちの中では
「これで完成なのだろうか?」
という感覚が消えませんでした。
理念としては美しい。
でも、現場ではそう単純ではない。
そのズレが、
ずっと引っかかっていました。
修士論文で向き合ったのは「理想」ではなく「現実」
この違和感の正体に、
正面から向き合うきっかけになったのが、
福島大学での修士論文でした。
テーマは、
不耕起有機栽培が
環境や生産にどのような影響を与えるのか。
いわば、
「不耕起は本当に良い農法なのか?」
を、自分自身に問い直す作業でした。
出てきたのは、きれいな答えではなかった
研究の結果は、
想像していたものとは少し違いました。
- 環境負荷が下がる傾向はある
- しかし、年によって結果は大きく変わる
- 収量が落ちる年もある
- 有意差が出ない項目も多い
つまり、
「常に良い」と言い切れるものではなかった。
それは失望というより、
むしろ安心に近い感覚でした。
現場で感じていた違和感が、
データとしても現れていたからです。
正しさより、問いを持ち続けること
このとき初めて、
こう思うようになりました。
不耕起有機栽培は、
完成された答えではない。
むしろ、
問い続ける前提に立つ農法なのではないか。
ここからRIKKAは、
「正しい農業をしている」という立ち位置を
少しずつ手放していきます。
