クラフトモルトとは何か|北海道・浦幌町で大麦から麦芽をつくる理由
クラフトモルトとは、地域で育てた大麦を、産地や品種、栽培方法の特徴を生かしながら、小規模な製麦所で麦芽にしたものです。
単に国産大麦を使っているというだけではありません。
誰が、どこで、どのように大麦を育てたのか。その大麦を、どのようなビールにするために製麦したのか。
畑から製麦、醸造までの考え方がつながっていることが、クラフトモルトの大きな特徴です。
北海道・浦幌町で不耕起有機栽培による大麦づくりを行うRIKKAは、自分たちで育てた大麦を、自分たちで製麦し、ビールにしています。
私たちが目指しているのは、不耕起有機栽培の大麦が持つ野生味を残しながらも、重たくなりすぎず、すっきりと飲めるモルトです。
モルトとは何か
モルトは、日本語で麦芽と呼ばれます。

収穫した大麦に水を吸わせ、発芽させた後、熱を加えて乾燥させたものです。
製麦では、浸麦、発芽、焙燥という工程を通して、大麦の中にあるデンプンや酵素を、ビールづくりに適した状態へ変えていきます。
しかし、同じ品種の大麦でも、収穫年や水分、粒の大きさによって、水の吸い方や発芽の進み方は異なります。
決められた時間だけ処理すれば、同じモルトができるわけではありません。
大麦の状態を見ながら、水分、温度、酸素、時間を調整する必要があります。
製麦は、単に大麦を濡らして乾かす作業ではありません。
生きている大麦の変化を読みながら、その個性をビールへつなぐ仕事です。
ビールの味は、醸造所に届く前から始まっている
クラフトビールの味について語るとき、ホップや酵母に注目が集まりがちです。
もちろん、それらは香りや味わいを決める重要な要素です。
一方で、ビールの色、甘味、コク、泡立ち、穀物の香り、口当たりの土台をつくっているのはモルトです。
同じレシピで醸造しても、使うモルトが変われば、ビールの印象は変わります。
だからこそ、ビールの味は醸造所に届いてから始まるのではありません。
畑で大麦が根を伸ばしたときから、すでに始まっています。
不耕起有機栽培の大麦からつくる
RIKKAは、北海道浦幌町で、不耕起有機栽培による大麦づくりに取り組んでいます。
不耕起栽培とは、畑を毎年大きく耕すのではなく、植物の根や土壌生物の働きを生かしながら作物を育てる農法です。
土をできるだけ裸にせず、植物や有機物で地表を守り、土の中の生態系を壊さないようにします。
その畑で育つ大麦は、雨、気温、土壌水分、周囲の植物など、毎年異なる環境の中で育ちます。
私たちは、その違いを大麦の「野生味」として捉えています。
ここでいう野生味とは、荒々しさや雑味のことではありません。
均一な原料にはない、穀物の存在感、香りの奥行き、生命力です。
RIKKAが目指しているのは、その野生味を残しながらも、後味が重くならない、すっきりとしたモルトです。
畑の個性は残す。
しかし、不快な雑味は残さない。
その境界をつくるのが、製麦の技術です。
一回500kgの大麦と向き合う

RIKKAでは、一回約500kgの大麦を単位として製麦しています。
大規模な製麦所と比べれば、非常に小さな量です。
それでも浸麦、発芽、焙燥には約1週間が必要で、温度や水分を継続して確認しなければなりません。
少量だから簡単なのではありません。
少量だからこそ、品種や収穫年、畑ごとの違いを見ながら製麦することができます。
同じ「りょうふう」でも、毎年まったく同じ状態ではありません。
吸水の速さ、発芽の揃い方、乾燥中に立ち上がる香りも変わります。
決められた数字だけを見るのではなく、大麦そのものを見る。
それが、RIKKAのクラフトモルトづくりです。
大麦にも品種がある
ワインではブドウの品種が、コーヒーでは産地や精製方法が語られます。
一方、ビールでは、ホップの品種に比べて、大麦の品種が語られる機会はまだ多くありません。
しかし、大麦にもそれぞれ違いがあります。

粒の大きさ、タンパク質、デンプン、水の吸い方、発芽の進み方。
品種が変われば、製麦中の反応も変わります。
RIKKAでは、北海道のビール大麦「りょうふう」を中心に、日本で最初に人工交配によって育成されたビール大麦「北大1号」も扱っています。
現代の品種と歴史的な品種では、畑での育ち方も、製麦中の反応も異なります。
その違いを消すのではなく、理解したうえでビールへつなげる。
それもクラフトモルトの役割です。
北海道・浦幌町で製麦する理由
地域で大麦を育てても、製麦の過程で他の産地の大麦と混ざれば、その畑の特徴を追いにくくなります。
地域の大麦を地域で製麦することで、畑からモルトまでのつながりを保つことができます。
RIKKAが浦幌町で製麦する理由は、輸送距離を短くするためだけではありません。
収穫したときの粒の状態、その年の天候、畑の土壌水分、収穫後の乾燥状態。
そうした情報を知ったうえで製麦し、その特徴をビールに反映するためです。
製麦所は、単なる加工施設ではありません。
農業と醸造の間に立ち、畑の情報をビールへ伝える場所です。
クラフトモルトは、地域に技術を残す
大麦を原料のまま地域外へ出荷するだけでは、そこで生まれる価値の多くも地域外へ移っていきます。
一方、地域で製麦し、醸造し、商品として販売することができれば、一粒の大麦から生まれる仕事と価値は大きくなります。
農家は、自分が育てた大麦が、どのようなモルトになり、どのようなビールになったのかを知ることができます。
醸造家は、完成したモルトだけでなく、畑で何が起きていたのかを理解できます。
飲む人は、味わいの背景にある土地や農業との関係を知ることができます。
クラフトモルトは、珍しい原料をつくることだけが目的ではありません。
農業、製麦、醸造、販売をもう一度つなぎ直し、その技術を地域に残すための仕組みです。
ビールの味を、畑から選ぶ

クラフトビールという言葉が広がったことで、私たちは醸造所や造り手の違いを楽しむようになりました。
次は、モルトの違いにも目を向ける時期が来ているのかもしれません。
どこで育った大麦なのか。
どのような品種なのか。
どのような農法で育てられたのか。
誰が、どのようなビールを思い描いて製麦したのか。
それを知ることで、ビールの味わい方は、さらに深くなります。
RIKKAがつくっているのは、北海道産大麦を使ったモルトというだけではありません。
北海道・浦幌町の不耕起有機栽培の畑から生まれた大麦を、その土地の野生味を残したモルトへ変え、すっきりと飲めるビールとして届けています。
ビールの味は、醸造所に届く前から始まっています。
土の中で大麦が根を伸ばした、その瞬間から。
RIKKAのクラフトモルトを、実際に味わう
RIKKAでは、浦幌町で育てた大麦を自ら製麦し、そのモルトを使ったビールを醸造しています。
畑や製麦の考え方は、説明を読むだけではすべて伝わりません。
穀物の香り、口当たり、飲み終えた後の余韻まで、実際の一杯で確かめてください。
RIKKAのビールを見る
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